紫鈴

「りいおにいちゃん」の僕と「鈴音」の俺のめちゃくちゃブログ

近寄ることを自己に禁じた少女

依月という幼女は俺の頭を割りそうなほどに痛ませた。

初恋の少女と同じような年格好。

最初は2歳だった。無表情で人形のようだった。

蒼夜に懐き、ただそばにいた。

理白と遊ぼうとしていたこともあった。

あいつはあしらうように遊んでやっていた。

僕は決めた。

絶対に関わらない。

不幸にさせるくらいなら無関心を装う。

 

依月は2歳から5歳、7歳、9歳と1年も経たずに成長した。

元日に自己嫌悪と哀惜で死ぬほど落ち込んで

無駄に泣いて、初日の出を見ようとした。ベランダからはよく見えず、

俺は勝手にコートを羽織って鍵だけ閉めてアパートを出た。

真っ暗い中を歩いて公園に向かった。

無茶な動きはしなかったつもりだったが月花は筋肉痛を起こしたらしい。

月花は健脚だが、男の動き方には対応していないのか、

俺が余程無茶をやっていたのか。

 

結局アパートのベランダの方がよく見えたからと帰路に着くと、

「見ないの?」と依月に声をかけられた。

話しかけることはおろか、声すら聞いたことがなかった。

やはり、話したかった。

 

とことん弱い俺は依月と話をした。

依月は楽しそうに笑っていた。

暗い中外に出たことがなかったからかもしれない。

そして、結局、俺は救われた。

今年の目標、抱負は「死なない」だったのだが、

それどころではない。

少女のロマンを語っただけだとしても、

「高校生になったら結婚してあげる」は大きかった。

僕の消滅願望は吹っ飛んだ。