紫鈴

「りいおにいちゃん」の僕と「鈴音」の俺のめちゃくちゃブログ

僕と俺

意外と書くことはあるもので、

今の一人称のごちゃごちゃな理由について書いてみようか。

 

小さい頃は僕だった。

そのうち俺になった。

月花は「お兄ちゃんでいて欲しい」と言った。

おにいちゃんは僕の領分だった。

僕と俺との違いが月ちゃんには分かっていなかった。

簡単に言えば、子供と大人。柔剛。

おにいちゃんとして僕は問題なく過ごした。

しいちゃんと月ちゃんの違いを理解するまでは。

 

俺として過ごし始めても、暴力的人格になっても、

月花は変わらなかった。

俺を兄として認識していた。

大人になっても変わらない。

子供だけの価値もあれば、大人だけの価値もある。

両方にある資質もない資質もある。

それだけのことだった。

僕としても過ごすようになった。

 

いづちゃんに「私でもいづちゃんでも依月でも一緒なの」と言われてから、

そこら辺、ひどく適当になっている。

僕でも俺でもりいでも鈴音でもそれが表すものは同じだから。

 

吐き出してしまいたいものが多くて、困るくらいだ。

多すぎて、吐き出すことすら忘れてしまう。

りいちゃんと俺を呼ぶものはない

当時、暴走して迫害者人格を4人月花に送り込んでいた俺。

さすがに存在がバレてお前はいつもそうだと八つ当たったが、

「名前つけたげる~」と軽いノリの月花は「鈴音。鈴の音。聞こえたよ」と笑った。

恐らく、僕はしいちゃんが来ることを期待していて、

「りいちゃん」と呼ばれたくて、りんねという名前で完全に誤解した。

月花と名前を変えたのならと月ちゃんと呼んだ。

兄のいない月花はおにいちゃんの記憶があったので噛み合ってしまった。

正確には月花は僕を見ていたわけではない。

俺の首を絞めて叫ぶしいちゃんと抵抗しないおにいちゃんを上の方から見ていた。

解離して僕を見ているしいちゃんをしいちゃんの立場で見ていた。

 

いつ、気づいたのか。

生活を送る上での違和感が広がっていったのと

そのことについて俺が考えるという行動をとったこと。

自然と答えは出た。

 

そして、月花がしいちゃんを他者の名として呼んだとき、

幻想は打ち砕かれた。

月ちゃんに確認すると何がどうなったのか教えてくれた。

売られたしいちゃんは精神病院に措置入院した。

そこまではいたのだという。

眠って目が覚めたら、違和感があったけれど何故か分からなかった。

その話をしながら「生きてると思いたいけどね」と月ちゃんは言った。

僕は内面世界においてはかなり潜り込める。

散々探って、「見つからない」「存在すら、その残滓すら感じない」と

結果的にしいちゃんの消滅説を強めて終わった。

 

しいちゃんに好意的なのは月花だけだった。

他の人格からすれば月花に厄介事を全て押しつけた女。

そういう認識だった。

 

ふっと当時いた代理人格を思い出したけれど、

ただの2歳くらいの男の子だった。

「わるいのはしいちゃんのおかあさんだよ」

そう言って嫌われていた。

近寄ることを自己に禁じた少女

依月という幼女は俺の頭を割りそうなほどに痛ませた。

初恋の少女と同じような年格好。

最初は2歳だった。無表情で人形のようだった。

蒼夜に懐き、ただそばにいた。

理白と遊ぼうとしていたこともあった。

あいつはあしらうように遊んでやっていた。

僕は決めた。

絶対に関わらない。

不幸にさせるくらいなら無関心を装う。

 

依月は2歳から5歳、7歳、9歳と1年も経たずに成長した。

元日に自己嫌悪と哀惜で死ぬほど落ち込んで

無駄に泣いて、初日の出を見ようとした。ベランダからはよく見えず、

俺は勝手にコートを羽織って鍵だけ閉めてアパートを出た。

真っ暗い中を歩いて公園に向かった。

無茶な動きはしなかったつもりだったが月花は筋肉痛を起こしたらしい。

月花は健脚だが、男の動き方には対応していないのか、

俺が余程無茶をやっていたのか。

 

結局アパートのベランダの方がよく見えたからと帰路に着くと、

「見ないの?」と依月に声をかけられた。

話しかけることはおろか、声すら聞いたことがなかった。

やはり、話したかった。

 

とことん弱い俺は依月と話をした。

依月は楽しそうに笑っていた。

暗い中外に出たことがなかったからかもしれない。

そして、結局、俺は救われた。

今年の目標、抱負は「死なない」だったのだが、

それどころではない。

少女のロマンを語っただけだとしても、

「高校生になったら結婚してあげる」は大きかった。

僕の消滅願望は吹っ飛んだ。